歯科衛生通信

平成31年5月号 カムカム通信

2019/05/01

歯のコト・口のコト 
~ 麻酔の歴史 ~

 現在、外科的手術に欠かせないのが「麻酔」です。麻酔薬の発見によって飛躍的に医療が進んだのは、誰もが認めるところです。
 古代ギリシャ、エジプトなどでは、大麻等の麻薬を使用して手術を行った記録があります。
 先史時代には、アヘンと大麻の2つが最も重要な薬草として利用されていました。
 南米ではチョウセンアサガオから抽出されたスコポラミンがコカのように用いられたことが分かっています。
 中国では、名医・華佗(かだ)が「麻沸散(まふつさん)」(大麻ではないかと言われている)という麻酔を使い、腹部切開手術を行ったと『三國志』に記録されています。
 また、江戸時代である1804年に外科医・華岡青洲(はなおか せいしゅう)が世界で初めて、全身麻酔を用いて行った乳癌手術では、麻酔薬『通仙散』(つうせんさん。別名:麻沸散 チョウセンアサガオにトリカブトやトウキなどを配合したもの)が投薬されたようです。

 さて、近代的麻酔の幕開けと言われている吸入式の麻酔は、1845年に歯科医師であるホーレス・ウェルズ(米国)が笑気(亜酸化窒素)麻酔により抜歯を行ったことでしょう。
 続いて、やはり歯科医師であるウイリアム・T・G・モートン(米国)が1846年、マサチューセッツ総合病院で硫酸エーテルを麻酔薬として最初の公開手術を行い、成功しました。
 その後、ジエチルエーテル、クロロホルムが用いられるようになり、近代麻酔薬の発展につながったのです。
 歯の痛みも麻酔がなければ、拷問のような治療になる事だと誰しも安易に想像できる事と思います。
 以前、編集後記の歯科トリビアでご紹介した「裕福でない江戸の庶民は、歯の痛みを九頭龍大神を祀る戸隠神社(長野県長野市)の方角へ向いて、お祈りし川に梨を流して治療した」という実話がありました。
 医療が進んだ現代に生きる私たちにとっては当たり前の事ではありますが、先人たちの研究を重ね続けた賜物である事は、忘れてはならない。
 背景でありまた、大変有難い事でもありますね。

訪問コラム ~ うがいの効果 ~

 うがいの効果は大きく分けて、上を向いて喉の奥を洗う「ガラガラうがい」と口を閉じて、頬を膨らませて行う「ブクブクうがい」があります。
 口腔ケアでは「ブクブクうがい」を中心に行っています。

口腔機能を保つ効果

 ブクブクうがいは、口をしっかりむすび頬や顎の筋力を活発に動かし、むせないように咽頭をふさぐなど、咀嚼(噛む)、嚥下(飲み込む)の機能を保つトレーニングにもなります。

肺炎予防

 口の中で繁殖した細菌が唾液とともに入り込むことで起こる、誤嚥性肺炎です。
 口の中の細菌を減らし清潔に保つ事が大切です。

 ブクブクうがいをするためには、意識がはっきりしている、唇を閉じることができる、水を吐き出すことができる、舌や頬を動かすことができる事が挙げられます。
 上体を後ろに倒すと誤嚥のリスクが高まるため、少し前かがみの姿勢で行いましょう!

 「ブクブクうがい」も無理をすると誤嚥の恐れがあるため、十分に注意しながら行ってくださいね!

うがいの効果

編集後記

 新元号「令和」の始まりですね。
 様々な出来事があった平成を振り返ると感慨深いですが、新たな一歩を踏み出しましょう。

 さて今月のトリビアは、【むし歯に効くフッ素入りの歯磨き剤】です。
 むし歯菌が糖を食べて酸を作りこれが歯の成分であるアパタイトを溶かす(脱灰)ことでむし歯になります。
 初期のむし歯は、脱灰したアパタイトが歯に戻る「再石灰化」と呼ばれる現象が起こるのですが、フッ素(正しくはフッ化物を含むアパタイト)も再石灰化を起こす成分で、この作用でいったん歯に戻ると次は脱灰し難く、歯表面のアパタイトが強化されてむし歯に強くなります。
 つまり再石灰時にフッ化物がお口の中にあることが重要となります。
 これがむし歯予防にフッ素入りの歯磨き剤(ペースト、粉など)が良いとされる所以です。
 ところが歯磨き後に何回もゆすぐと、そのフッ化物が流され薄くなります。
 歯磨き後の仕上げのゆすぎは、ごく少量の水で1回だけにして、しばらく飲食しなければ再石灰化効果が高まリます。
 現在、国内で販売される歯磨き剤の多くは身体に安全な濃度ですので安心して使用できます。

 編集 竹腰

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