歯科衛生通信

平成31年10月号 カムカム通信

2019/10/01

歯のコト・口のコト 
~ 〜食欲の秋・歯科と食育 ~

 栄養バランスを考えた旬の素材をどのように口に取り込み、味わい豊かに食べるか、心の和む美味しい食べ方、飲み方などに関する「食べ方」については、食育の大きな柱として明確に位置付けられます。
 「食べ方」は乳幼児期、学齢期に口の成長に伴って発達します。
 この時期のかみ方、飲み方、味わい方などの「食べ方」の機能発達期に本人や家庭への「食べ方」を主とした食育が必要です。

 食べ物は「口」から食べるのであり、食べる器官の働きとそれに伴う味わいやくつろぎなど食べ物が口に取り込まれてから飲み込まれるまでの食べ方を知識と体験を通して育むことが必要です。
 食べ物と食べ方の知識と体験があって初めて、食が健全な心身の糧となり、豊かな人間性を育むことができます。
 よくかんで食べる習慣を身に付け、それを維持するために、自分の歯で何でもかめるようにしておくことが大切です。
 そのためには、むし歯や歯周病の予防・治療を心がけ、お口の健康を保つ必要があります。

 「食育の推進の目標に関する事項」の目標の一つでもある内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)の予防に関る肥満や生活習慣病も「早食い」「丸のみ」などの食べ方が大きく関与しています。
 小児期からの健康づくりに「食べ方」を含めた健康な食習慣づくりの推進と高齢者までの生涯にわたるライフサイクルに応じて健康診断や保健教育を介した「食べ方」の食育の推進が大切です。

 ライフサイクルを意識して一人ひとりが豊かで健全な食生活を実践して、心豊かで健康な生涯を送ることができるように歯科関連領域では「食べ方」を主とした食育を積極的に推進する任を担うことが望まれます。

訪問コラム ~ 唾液の種類と役割 ~

 唾液は、耳下腺、顎下腺、舌下腺という3つの唾液腺から分泌されます。

 唾液には、サラサラした唾液とネバネバした唾液の2種類があり、役割は、その時の体の状態によって違いがあります。
 サラサラの唾液は、主に耳下腺から分泌されます。体がリラックスしている時に働く、副交感神経によってコントロールされる為、リラックス状態の時に分泌され易いのが特徴です。
 口の中を洗い流し清潔に保つ自浄作用や、食べ物を湿らせて飲み込み易くする役割があり、消化酵素が多く含まれているので消化吸収を助けます。

 一方、ネバネバの唾液は、舌下腺から多く分泌されます。
 緊張している時に働く交感神経によってコントロールされているため、緊張している時やイライラしている時に分泌され易くなります。
 緊張すると口がねばつくのはそのためです。
 ネバネバの唾液はあまり良いイメージがないかもしれませんが、粘液が傷つくのを防いだり、粘膜の保湿をしたり、細菌を絡め取って体内への侵入を防いだりする大切な役割があります。

 それぞれの唾液がバランスよく働くことが大切です。

唾液の種類と役割

編集後記

 ようやく、秋らしい落ち着いた気候になって参りましたね。
 しっかり睡眠・食事・水分補給して夏の疲れを癒しましょう。

 さて今月と来月は、【世界が嫌う八重歯と日本人】の歯科トリビアです。
 世界では忌み嫌われる八重歯ですが、確かに日本だけには「八重歯が可愛い」とした時代がありました。
 横浜矯正歯科医、大野肅英先生が1988年の論文「八重歯の考現学」において日本の歴史や文化から詳しく考察されています。
 その中で「八重歯が可愛い」は、「若さの関係」「日本文化の幼児性」、「未完成の美としての魅力」と述べられています。
 このように、八重歯にだけ独特な価値観、美意識を持っているのは日本人だけと結論され、日本文化の影響を受けて育つ場合、生活の西欧化や外国文化と融合を繰り返しても、この価値観は、根強く変わらないだろうと結ばれています。
 とは言え、歯科医学的に犬歯には咀嚼(そしゃく)時に重要な役割があり、八重歯ではその役割が果たせず、歯磨きもしにくいことから、むし歯や歯周病の懸念もあり、又、転んだ時など、怪我をしやすいという理由から治療することをお勧めしているのです。

 編集 竹腰

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