歯科衛生通信

令和元年12月号 カムカム通信

2019/12/01

歯のコト・口のコト 
~ 〜 災害時のオーラルケアのすすめ2 ~

 【はじめに】避難所などで、口腔ケア用品・水・電気などに不足がある状況を想定した内容も含みます。
 種々の代用品などを紹介しておりますが、これはあくまでも緊急措置として使用するものであり、長期での連用は危険を伴う場合もあります。
 物資の供給が安定した時点で、適切な方法へ変更するようにお願いします。
 数回に分けてご紹介していきますが、非常に、大切な内容ですので熟読し、災害に備えてしっかり準備をしておきましょう。

(3) 災害時どのような口腔ケアが必要?

 口腔を清潔にする為の歯みがきとうがい、それを保つための保湿が大切です。
 誤嚥性肺炎を起こす理由は、口腔や咽頭部にいる菌を嚥下障害により気管・肺へ誤嚥する為ですが、免疫力が良好であり、又口腔が清潔な状態ですと、肺炎を起こす確率がとても低くなります。
 また口腔ケアの刺激で嚥下障害の改善を期待でき、口から食べることは、栄養状態を改善し、免疫力を向上させます。

(4) 災害時うがいする水が不足している場合は?

 歯みがき剤で研磨剤を含むものは吸湿作用が強く、口の中に残ると乾燥を助長する為、うがいをしにくい状況では使わないようにします。
 歯ブラシを少量の水で濡らすだけで磨きますが、洗口液が入手可能なら歯垢の除去に効果的です。
 うがいは、口の中の汚れを水の勢いで浮き上がらせ、薄めて、吐き出す行為です。
 一度に多くの水を含んで吐き出すよりも、「少量ずつ口に含んでは吐き出す」を繰り返す方が効果的です。

訪問コラム ~ 入れ歯の洗い方について ~

 入れ歯を洗う時は、しっかりと持って「入れ歯の専用ブラシ」または、「固い歯ブラシ」で、入れ歯の中央から端に向けて動かすようにします。
 金属バネの部分は、強く握ってしまうと変形する恐れがありますので、注意して下さいね。
 入れ歯も、歯と同じように、人工歯と人工歯の間にブラシをあてて、義歯床から歯の先に向けて、まっすぐに入れ歯専用ブラシを動かすと汚れが落としやすいです。
 ヌルヌルとする正体は、「デンチャープラーク」と呼ばれる、入れ歯に付着する細菌や歯垢なのです。
 粘着性があるため、お水で流した程度では落ちませんので、ブラシを使って、しっかり落とす必要があるのです。
 「デンチャープラーク」は、身体に悪影響を及ぼしやすい「菌のかたまり」ですので、口の中を清潔に保つためには、よく磨き、ヌルヌルの正体である「デンチャープラーク」をしっかりと、取り除いて下さいね。

入れ歯の洗い方について

編集後記

 寒暖の差が激しいので、どうぞお身体大事にして良いお歳をお迎え下さい。本年もご愛読頂き、誠に有難うございました。

 先月から【歯にまつわる故事や熟語】の歯科トリビアをご紹介しています。
 故事成句=故事(大昔の事件や由緒ある事柄)】を語源とするもの。
 今回は【切歯扼腕せっしやくわん】の背景にある物語は『三国志』など中国の歴史書の様に、血生臭いものでした。
 『史記』の、秦王(若き始皇帝)暗殺を命ぜられた荊軻(けいか)は、クーデターを目論む秦の将軍・樊於期(はんおき)に計画を相談します。
 すると樊於期は自分の腕を強く握りしめて(扼腕やくわん)、「これこそ わたしが日夜切歯(ひやせっし「歯ぎしり」のこと)して、心を砕いてきた」と、自ら自分の首を切り落としました。
 荊軻は樊於期の首を土産にし、秦王に近づくことに成功しました。
 同義語として”咬牙切歯”(こうがせっし)があります。
 「咬牙」は「切歯」同様に悔しがって歯ぎしりする、または習慣となった夜の歯ぎしりを意味します。
 現在でも「歯ぎしり」の原因として、心理的ストレスが原因の一つとされています。平穏な心を保ちたいものです。

 編集 竹腰

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