歯科衛生通信

令和2年3月号 カムカム通信

2020/03/01

歯のコト・口のコト 
~ 災害時のオーラルケアのすすめ5 ~

 【はじめに】】避難所などで、口腔ケア用品・水・電気などに不足がある状況を想定した内容も含みます。
 種々の代用品などを紹介しておりますが、これはあくまでも緊急措置として使用するものであり、長期での連用は危険を伴う場合もあります。
 物資の供給が安定した時点で、適切な方法へ変更するようにお願いします。
 数回に分けてご紹介していきますが、非常に、大切な内容ですので熟読し、災害に備えてしっかり準備をしておきましょう。

(9) 要介護者にも口腔ケアの注意点は?

 自力で食べることや口腔ケアに不自由な介護を要する方には、周囲のサポートとして、食べるだけでなく、その後の口腔ケアも手伝う必要があります。
 うがいができるかできないかで、方法・難しさが異なります。
 いずれにしても、ポイントは口の中の汚れを飲み込ませない様に吐き出してもらう、あるいは回収することです。

【洗口ができる要介護者の場合】

 洗口した水を飲み込ませないように吐き出してもらう工夫として、顔を横に向けてもらって(もし左麻痺がある場合は、右を向かせる)、喉の方へ流れ込みにくいよう配慮します。

【洗口ができない要介護者の場合】

 歯ブラシなどにつける水は必要最小限とし、顔を横に向け、下になった側の頬粘膜に濡れティッシュなどを置きます。
 口の中の汚れを、歯ブラシやスポンジに絡め取るとともに、飛散した汚れを濡れティッシュとともに回収します。

訪問コラム ~ 誤嚥性防止のとろみ付けは安全? ~

とろみ濃度は安全?

 飲み込む力が衰えてくると、食べ物が食道ではなく誤って気道に入ってしまう【誤嚥】を起こしやすくなります。
 最も誤嚥しやすいものが水や汁物で、嚥下機能が衰えていると、スプーン1杯の水でも溺れると言われるほどです。
 そこで、誤嚥を防ぐ有効な方法として「とろみ付け」が多く用いられています。
 確かに、とろみがあると液体がまとまりやすくなるので、水分も飲み込みやすくなります。
 しかし、とろみをつければそれで安全というわけではありません。
 とろみの濃度を高くしすぎるとかえって飲み込みにくくなったり、のどへの残留のリスクが大きくなったりします。
 のどの筋力が衰えている人では、とろみの強いものをしっかりと飲み込むことができず、残留物としてのどに残ってしまうことがあります。
 これを「咽頭残留物」と言いますが、食後しばらくしてから、この咽頭残留物が気道に入って誤嚥を起こすことがあります。
 一人ひとりの飲み込む力を考慮しながら、嚥下食のとろみ濃度を調整することが重要になってきます。

誤嚥性防止のとろみ付けは安全?

編集後記

 新型コロナの影響が凄まじいですね・・皆さんも不要不急の外出は避け、こまめな手洗いをして、感染防ぎましょう。

 外出は避け、こまめな手洗いをして、感染防ぎましょう。
 旧年秋から【歯にまつわる故事や熟語】の歯科トリビアをご紹介しています。
 故事成句=故事(大昔の事件や由緒ある事柄)】を語源とするもの。
 今回は【歯亡舌存 しぼうぜっそん】 “歯亡びて舌存す(はほろびてしたそんす)”と訓読します。
 前漢の劉向(りゅうきょう)の編になる『説苑(ぜいえん)』の中の「敬慎」を原典とします。
 「説苑」とは、君主を戒めるために前賢先哲の故事・伝説をまとめたものです。
 この「歯亡舌存」の意味は、“歯は強くて堅いが、やがて抜け落ちてしまう。
 しかし、柔らかい舌は変わりなく機能がはたらく”ことから、「剛強なものは滅びやすく、柔軟性を持つものは残る」ことの例えとされています。
 我が国で言うところの「柳に風のごとく」ということかもしれません。
 自己主張が強く独善的な君主には、民はついていきませんよ、と戒めたのかもしれませんね。
 歯に被せる金冠に使用する金属も、また入れ歯の針金も硬すぎると歯根を痛めてしまいます…適度な柔軟性が必要ですね。

 編集 竹腰

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